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語学学校(BCIT ISEP)レビュー

 BC州の州立工科大学、British Columbia Institute of Technology (BCIT) で開設されている語学プログラムInternational Student Entry Program (ISEP) を1 term (7 weeks) 修了してみての感想。

*本科コースのNew Media Design & Web Developmentレビューはこちら

概要

 ISEPは留学生向けの語学プログラムで、BCITの入学要件としても用いられている。レベル別に1から6までが用意されており、どのレベルになるかは授業開始の一週間程度前に実施されるクラス分け試験で決まる。

  • レベル1-3は、英語初心者向けで授業内容も自身の経験や家族といった身近なテーマを扱う。

  • レベル4-6は、大学の講義を受ける上で必要となるアカデミックなテーマを扱う。

クラス分け試験

 Computer-basedの試験にてReading/Listening/Writing/Speakingを実施。全体で2時間程度 (記憶が曖昧) だが、前半のR/Lセクションで点数が低い受験者は後半試験無しとなる。(基準点は不明だが内容はセンター試験の英語よりも簡単なレベル)

 前半をクリアした受験者は後半へ進む。特にReadingについてはここから一気に文章のレベルが上がり、IETLSのReading3問目程度のものに、Writingは与えられたテーマについて意見を書くもの、Speakingは特定のテーマについて喋り録音される。

クラス構成

  • クラスはR/L/W/Sごとではなく、まとめてレベルXに配置される。

  • クラスの人数は20人強で他の語学学校に比べると多め。

  • 国籍の6~7割程度は中国系で、上のレベルに行けば行くほどこの割合は増える。(※)

 ※私立の学校だと中国人には就学VISAが認められにくいらしく、結果として州立のISEPに中国人が集まっている。その他の国籍は、日本/南米/韓国/東南アジア/東欧など。

学校の方針および雰囲気

 最終目標は「英語を喋ることができるようにする」ではなく「大学の講義を受ける上で必要な英語力を身につける」であるため、英語を喋れるようになりたい人は他のスピーキングに特化した学校に行った方がよい。というのも、プレゼンテーションの機会は多いが、発音に矯正はほとんど行わず、内容を重視しているためである。

 また、もう一つの大きな理由として、中国人が多いため、休み時間は英語よりも中国語を聞く機会の方が多くなるためである。形式上は母国語を喋っているのを3回注意されると退学とされてはいるが、厳格にこの規則は運用されておらず、その場限りの注意となっている。※厳しい学校では本当に退学にするらしい

授業

 最初の一週間はオリエンテーションや自己紹介等が多く、比較的ゆったりとしているが、その後は毎日宿題が出され、隔週程度で小テストが実施される。評価の割合として、授業参画/宿題/小テストが70%、最終試験が30%であるため、日々の授業で点数を取っておかないと進級するのは厳しい。

 授業の内容や扱う英語レベルとしてレベル4の場合、大まかには以下のようなものになる。

  • R: ForbesやGuardian等から5ページ前後の英文/Academic Word Listの一部

  • L: TED等から20分弱のスピーチやレクチャー/ノートテイキング

  • R: 5パラグラフ構成のエッセイ

  • S: 10分程度のスピーチ

 ただ、R/L/W/Sまとめての点数でクラス分けをしているため、各授業ごとに難しすぎる/簡単すぎると思う生徒もそれなりにいる模様。

所感

 授業の質自体は悪くないため、BCIT入学要件をIETLS等の試験で満たせない人やアカデミックな英語を鍛えたい人にはいいかもしれない。自分はIETLSで入学要件を満たしていたが、きちんと学んだことはなかったアカデミックな英語の基礎を身につけられたのは良い経験だったと思う。ただ、クラス人数や中国人の割合が多すぎるため、最低限の基礎を学んだ後はISEPを続けるメリットはあまり無い。

 ISEP経由でのBCIT入学は2013年後半に要件が引き上げられ、主要なコースではレベル6を一定の点数以上でクリアすることが必要となっている場合が多い。おそらくレベル5をクリアしてBCITに入ってくる生徒の英語力が不十分だったため、ISEP経由の要件が引き上げられたのでは。最終試験の難易度は高めではあるが、それまでの評価が70%であるため、日々やるべきことをきっちりこなしていれば次のレベルへ上がることは難しくないだろう。

 とはいえ、真面目にやっていてもレベル6で躓く生徒は一定数いる模様。個人的な意見ではあるが、レベル6をクリアできる英語力が本当にあるならIELTS基準点を満たすのは難しくないのではと感じる。(扱う英文の分量だけでもレベル4の2倍以上になり、内容もIELTSより高度)

その他

 他者の英文から3 wordsを超えてコピーしたことが発覚した場合、その課題については評価無しが原則。特に、~を聴いて要約するといった課題でコピペを指摘され評価ゼロとなっている人がちらほら。とはいえ、先生によっては書き直して再提出すれば通常より評価は下げつつも採点はする場合もあるので、この辺りも含めて運用面での甘さを感じる。