Vancouver Note

バンクーバー生活のメモなど

カナダのパイプラインプロジェクト

 VIU Easeプロラグムにおけるチューターとのディスカッション用メモ。せっかくなのでBC州で議論となっている問題を扱おうということでカナダのパイプラインプロジェクトを選択。

オイルサンド

 パイプラインプロジェクトにて供給されるオイルサンドはwikiによると

The oil sands are loose sand or partially consolidated sandstone containing naturally occurring mixtures of sand, clay, and water, saturated with a dense and extremely viscous form of petroleum technically referred to as bitumen (or colloquially tar due to its similar appearance, odour and colour).

つまり、高密度かつ粘性の高い石油を含む砂岩。

また、代表的な産出地としてはカナダのアルバータ州があげられる。

対象プロジェクト

 カナダは資源国であるため複数の資源プロジェクトが計画されているが、特に議論となっているものが

  • アメリカテキサス州へ原油を輸出する「キーストーンXLパイプライン」
  • 国際市場への輸出を目的とした「ノーザンゲートウェイパイプライン」

論点

1.オイルサンド

 粘性が強いため輸送用パイプラインの腐敗につながりやすい。また、汚染物質を多量に含むため採掘地およびパイプライン経由地の健康被害や環境破壊を招く。

2.パイプライン

 パイプライン施設ルートにはBC州の原住民居住区や保護すべき未開拓地が多分に含まれ、計画が実施されると強制立退き等につながる。 http://www.ubcic.bc.ca/News_Releases/UBCICNews12191301.html#axzz2tLsq1LXP http://www.ted.com/talks/wade_davis_gorgeous_photos_of_a_backyard_wilderness_worth_saving.html

3.オイルタンカー

 輸送用タンカーの運行ルートに原住民生活地区や原生林地区が含まれていること、石油流出が発生した際の影響が大きいこと。 http://www.theglobeandmail.com/news/british-columbia/ottawa-aims-to-calm-fears-over-over-oil-tanker-safety/article16990983/

4.温室効果ガス

 オイルサンドは通常の石油と比較し、製造プロセスが複雑であり、数倍の温室効果ガスを排出するため、温暖化問題の観点からも議論となっている。

各プレイヤーの反応

1.カナダ政府

 資源国としてのエネルギー政策および原油収入確保の観点から当該プロジェクトを推進。また、現首相であるStephen Harperは原油産業の中心地アルバータ州出身かつ石油会社を支持基盤にもつ。

2.アメリカ

 キーストーンXLパイプラインの認可に対してはオバマ大統領の判断待ちである。主なイシューとしては

  • パイプライン建設による農家の土曜汚染
  • 国内雇用創出の可否
  • 気候変動への影響
  • シェールガス開発による石油から代替エネルギーへの転換
  • 中東や南米への石油依存軽減

等があげられる。 https://www.youtube.com/watch?v=F9eZ-6U2Qes http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM0100N_R00C14A2NNE000/

但し、アメリカが認可を行わない場合でもカナダはノーザンゲートウェイパイプラインを通してアジアを中心とする国際市場へ輸出を強化することが可能である。

3.ブリティッシュコロンビア州とアルバータ州

 事故発生時や原住民保護の観点からリスクの高さに対し利益配分が少ないため、州政府レベルでの交渉も決着していない。 http://www.thefraser.com/2012/08/%E3%83%91%E3%82%A4%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3 http://www.cbc.ca/news/canada/british-columbia/northern-gateway-pipeline-recommendation-draws-mixed-reaction-1.2470438

4.BC州市民

 過半数はパイプラインプロジェクトに反対の立場をとってはいるが、中央政府の影響を考えると政治決着にてプロジェクト推進となるのでは、という悲観的な見方をしている。 http://dogwoodinitiative.org/blog/2014-justason-poll-results?utm_source=AdaptiveMailer&utm_medium=email&utm_campaign=20140214-February-E-News&org=354&lvl=1&ite=6678&lea=10980287&ctr=0&par=1

5.原住民

 原住民の代表者がプロジェクト評議会や監査委員会に入ってはいるものの、政府の御用学者や石油会社の影響が大きく、議論は難航。

6.石油会社 (エンブリッジ)

 当該プロジェクトの安全性を強調するエンブリッジに対し、各種団体からの反対も依然として続いている。 https://www.youtube.com/watch?v=e4clpEQW0h8 https://www.youtube.com/watch?v=UgvY6zBc3q4

7.バンクーバー

 石油タンカー運航による環境、景観破壊や観光収入への影響含めて反対の立場をとっている。 http://www.theglobeandmail.com/news/british-columbia/vancouver-cites-environmental-impact-tanker-traffic-concerns-in-trans-mountain-submission/article16820452/

※その他記事 http://www.ibtimes.com/canada-eyes-tar-sands-oil-boom-project-could-damage-environment-destroy-ecosystems-1130699