Vancouver Island University: EASE (ESL) コースのレビュー
Powell Riverに二つある語学学校の一つ、Vancouver Island Universityが開設しているEnglish Academic Skills Experience (EASE)のレビュー。
概要
Vancouver Island Universityはこじんまりとした学校で、大学とコミュニティセンター両方の役割を担っている。その中でプログラムとして提供されているのがEnglish Academic Skills Experience (EASE)と呼ばれる語学コースで、6週間を最低期間として受講することが可能。
※6週間はあくまで学校側が考えるベストな期間であって、都合により1週間単位の受講も問題ないらしい。生徒ごとにスケジューリングを行っているため、生徒側からすると6週間という単位にあまり意味は感じられない。
プログラム内容としては、
- カナダ人向け語学コース (午前1.5h)
- 留学生向けESLコース (午前1h)
- 大学の授業参加 (午後)
- メンターとの個人レッスン等
- 地域のイベント参加 (午後、夜)
- その他レクリエーション活動
となっている。また、受講要件としてIELTS6.0以上等があるが、厳格なものではないのでおそらく交渉次第で受講は可能だと思われる。但し、カナダ人コミュニティへの参加が主となり、一般の語学学校の先生のように手加減してゆっくり話してくれるわけではないので、それなりに英語ができないとコミュニケーションを取るのは難しい。
プロラグム内容 (上記1~6) について
1. カナダ人向け語学コース (午前1.5h)
英語を学び直したいカナダ人向けのコースでreading/grammar/discussionを行う。ここで言うカナダ人とは、大人になってから大学へ行こうと思い立ったが昔の英語の成績が入学要件に満たない者などを指す。日本で言うと、大人になってから大検やセンター試験対策を受講するようなイメージだと思われる。
年齢層や受講動機も様々で家庭をもっている方もいるため、基本的に雰囲気は緩く、たまにしか出席しない生徒もいる。ネイティブとディスカッションができるのはいいがアカデミックな話をするわけではないので、ある程度の素養がある留学生としては物足りないかもしれない。また、授業内容も留学生用ではないため、学びたいポイントが異なる場合も。
2. 留学生向けESLコース (午前1h)
ESL用テキストを用いての授業。生徒は平均1~5人程度とのこと。テキストは、ネイティブが普通のスピードで喋るレベルのため簡単ではないが、試験がある/課題が多い等のプレッシャーがあるわけではなく雰囲気は1と同様に緩い。
3. 大学の授業参加 (午後)
大学で開講している教養クラスへの参加 (選択制)。開講している授業は時期により異なるが、英文学や心理学といった人文科学系の科目が中心となる。そのため人によっては興味のある授業がないことも。教養クラスのためビジネス分野のように専門的な話は少ないが、逆に特定分野の語彙に頼ることができず、ある程度英語を喋ることができないとネイティブとのディスカッションは難しいのでは。
4. メンターとの個人レッスン等
各生徒にネイティブのメンターがつき、特に学びたい分野や教えてほしいことを個人的に聞くことが可能。頻度はメンターとの調整次第で、メンターは学校のインストラクターというわけではなく、適任者を一般から募っていると思われる。
私のメンターはいくつか本を出しているジャーナリストの方で、メンタリングとして小説やカナダ時事問題についてディスカッションを行い、英語表現の指導や時事問題の背景解説を行って頂いた。私の場合、プログラム後半は時事問題としてBC州のパイプライン問題について最近の動向や論点を事前に調べ、エネルギー政策含めた政治的背景を中心に意見交換を行った。
頻度としては週2回×1.5hだったが、これはディスカッションが白熱して終わらなかったため、気がついたら1.5h経っていたということが多い。
5. 地域のイベント参加 (午後、夜)
コミュニティ活動として行われているイベント (合気道、スピーチクラブ、アート/音楽関連など) やボランティア活動 (小学校/老人ホームでのヘルパー、高齢者向けのパソコン指導) への参加を行う。参加費が必要な場合は学費から支払われるため追加費用は無し。
当然ながらその地域のネイティブしか参加していないため、敢えて留学生向けに手加減して喋ってくれることは無い。但し、ネイティブと関われる機会は増えるものの、そこで会うネイティブとは社会的属性が余りにも異なるため、話したい/話の合う話題が多くはないであろうことには注意が必要。※子供かシニア層が大半
小学校ではgrade4と6を対象に日本についてのプレゼンテーションと質疑応答等を実施。みんな日本について興味を持っているため質問が尽きず、先生が強制的に打ち切らざるをえないほど。
6. その他レクリエーション活動
補助的なものではあるが、ジム利用やヨガ参加なども学費から支払われる。また、映画/音楽祭の費用も同様。語学力向上には直接関係ないが、この地域での生活の一部として含まれているのでは。また、大学のサッカーチームに入ってプレーしたりすることも可能。(冬は雨ばかりのためプレーできる機会が少ない可能性あり)
ホームステイ
この地域でのホームステイは学校側が直接管理しているため、受講期間とホームステイ期間は基本的に同じとなる。バンクーバーと異なりビジネスライクにやっている人は少ないらしく、家族の一員として滞在することになる。
総評
どう感じるかは人それぞれのため、あくまで参考としての良い点/悪い点を記載。留学生同士ばかりではなくネイティブと交流したいと思った場合、具体的に何をしたいのか、その地域でどのような生活をしたいのか (自分にあったライフスタイル) を考えておかないと人によってはつらいかもしれない (娯楽の少ない街なので)。
良い点
- カナダ人コミュニティに入り、家族/地域の一員としての生活が体験できる
- 手加減の無いネイティブの英語に触れることができる
- ゆったりとした田舎町でカナダの文化に触れながら生活できる
悪い点
- ネイティブと話す機会は多いものの、20代が少ないため社会的属性が遠いことも多い
- 勉強中心ではないためバンクーバーの語学学校と比べると授業の質は劣る。
- 授業数に対して費用が高い (この理由としては、個別にやりたいことを考慮してスケジュールを組むため調整にかかる人件費が大部分を占めていると思われる)
海と山に囲まれた環境であるため、どうせ行くなら春から夏に行くのがベスト。また、ある程度同年代の留学生との交流もしたい場合はもう一つある語学学校を検討してみてもいいかもしれない。私の場合は本プログラム後にバンクーバーの大学へ行くことが決まっていたため、本格的な勉強漬け生活が始まる前にカナダの文化や時事問題についてゆっくり考えることができ、長期的に見ると貴重な経験ができたと感じている。